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樹木たちの知られざる生活:森林管理官が聴いた森の声

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樹木たちの知られざる生活:森林管理官が聴いた森の声

著者:ペーター ヴォールレーベン
出版社:早川書房
(中古品で購入可)

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樹木たちの知られざる生活:森林管理官が聴いた森の声
 

森のイメージを大きく変えてくれる世界的ベストセラー

例えば、フクロウが巣にする大きな穴はどのようにしてできるのか。例えば、「古い木よりも若い木の方が元気で成長も早い」という説は、いまや完全に間違いだと証明されていること。世界的ベストセラーとなったこの本には、読んで思わず話題にしたくなるネタが満載だ。個人的には2つ目の「木の言葉」でいきなり心をつかまれた。

こんな具合だ。

キリンに葉を食べられたサバンナアカシアは、葉の中に有毒物質を集める。同時に、警報ガスを発散して、まわりの仲間たちに警告する。こうしてキリンはまずくなった葉っぱしかないご近所での食事を諦めて、遠くに移動しなければならなくなる。つまり、キリンは追い払われるわけだ。なんて頭がいいんだ、サバンナアカシア!

他にもある。

害虫にかじられた樹木は、その唾液の成分から害虫が何者かを判断して、それに合わせてにおいを発散し始め、害虫の天敵を招き寄せる。そして天敵に害虫を始末してもらう。なんと、木は用心棒まで使ってしまうのだ!

木同士のコミュニケーションは、におい物質だけではない。どうやら電気信号や色や音まで使っているらしい。木々は、仲間の木と根っこを通じてやりとりする。土壌中の菌類も参加して、ライバル同士の樹種までもが情報を共有している。そう。木々は思った以上におしゃべりなのだ。

人間が品種改良した植物は、どうやらこの会話能力が失われているらしい。害虫にやられないように農薬をたくさん使うのはそのためだと作者は言う。そして、「栽培業者は森林を手本として、穀物やジャガイモをおしゃべりにする方法を考えたほうがいいのではないだろうか」と問いかける。

どこまでが科学的に立証された話で、どこからが作者の独自のアイデアなのかはわからない。けれど、長年森林を管理してきた作者が描き出す森の姿は、いきいきとして、驚きに満ちていて、イメージをがらっと変えてくれる。樹木自身の幸せは、樹木たちのコミュニティの幸せと直接的に結びついている、なんて言われると、ドキッとする。そこには人間より遥かに高等な文明があるように感じられる。次に森を訪れるときには、木々の「声」を聴き取りたくなること間違いなし、です。

(編集部:たかしな)

<目次>
まえがき
友情
木の言葉
社会福祉
愛の営み
木の宝くじ
ゆっくり、ゆったり
木の作法
木の学校
力を合わせて
謎めいた水輸送
年をとるのは恥ずかしい?
ナラはひ弱?
スペシャリスト
木なの?木じゃないの?
闇の世界
二酸化炭素の掃除機
木製のエアコン
ポンプとしての森
君のものは僕のもの
住宅供給サービス
さまざまな生き物の母艦
冬眠
時間感覚
性格の問題
病気の木

ストリートチルドレン
燃え尽き症候群
北へ!
進化
災害
新参者
森の空気は健康?
森はどうして緑色?
はずれた鎖
有機林業?

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