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森学ベーシック:5.森と産業:日本の森と建築・土木

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森学ベーシック:5.森と産業:日本の森と建築・土木

建築・土木と木材の長い歴史

「森の国・日本」において、木材はもともと建築や土木と深い関わりを持ってきました。古くは縄文時代前期のものが確認されています。大分県横尾遺跡で発掘された最古の建築材と言われる木材は約6000年前のもの。その木材にはなんと「ほぞ」の加工跡も見られるそうです。

地震によって出現した鎌倉時代の「旧相模川橋脚」(※1)

地震によって出現した鎌倉時代の「旧相模川橋脚」(※1)

建築では、世界最古の木造建築群として有名な「法隆寺」があります。土木にも古い構造物が残っています。1198年(鎌倉時代)に相模川に架けた橋のものと見られる「旧相模川橋脚」で、日本最古の橋脚として国の史跡に指定されています。関東大震災(1923年)の際に起きた液状化によって水田の中からヒノキの木杭が出現して発見されました。

歴史が古いためか、建築の構造は鉄骨や鉄筋コンクリートなどの方が木材より優れているというイメージを持たれ、国の方針で「建築物の非木造化」が進められた時期もあります。しかし、2010年「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、国の基本方針の中で公共建築物について「可能なものは木造化、木質化を進める」ことが明確に示されました。

再評価される木の家

ひとくちに「木の家」と言っても、金具を一切使わない伝統工法や、日本の木造住宅に多い在来工法(木造軸組構法)、木造枠組壁構法(いわゆるツーバイフォー)などいろいろあります。また、製材した木材ではなく集成材などの木質材料を使ったものなども広く木造建築と呼ばれています。

個人住宅においても木の家を再評価する流れが見られます。これは、国産材の利用への関心が高まっていること、建築基準法上あいまいだった伝統構法への評価が進められていること、さらには「つくっては壊すから、長持ちさせる時代へ」という長期優良住宅法(国土交通省2009年公布)がこの流れを後押ししています。同法の基本方針では「国産材その他の木材を使用した長期優良住宅の普及が図られるよう配慮するものとする」と明記されています。これらを背景に、環境や健康に配慮した自然素材を使った家や、「板倉構法(落とし込み板壁工法)」のような伝統的な構法を前面に打ち出す住宅メーカーも登場しています。

木造住宅の約8割を占める在来工法(木造軸組構法)/ 壁・床・屋根も木材で構成される「板倉構法」の一例(※2)

木造住宅の約8割を占める在来工法(木造軸組構法)/ 壁・床・屋根も木材で構成される板倉構法の一例(※2)

新技術が可能にした大規模木造建築

大規模建築にも、木造・木質構造のものが登場してきています。これまで耐火性や接合部などに技術的な課題があった木材は、近年になって、新しい構法や技術の登場によって大規模建築にも活用されるようになりました。例えば、木質構造部材と鉄骨や鉄筋コンクリート部材などを組み合わせた「混構造建築」の設計、木質部材に耐火性を付加した「耐火集成材」の技術開発などが挙げられます。

夢・みなとタワー 鳥取県境港市

鳥取県日南町の杉の集成材による格子構造と、鉄柱およびリングからなる鉄骨テンセグリティ構造による43mのタワーです。(※3)

エムウェーブ

設計:久米・鹿島・奥村・日産・飯島・高木 設計共同体

エムウェーブ 長野県長野市

1998年、長野で開催された冬季オリンピックのメイン会場"エムウェーブ"。屋根など主要部分の木材はカラマツをはじめ県産材が使用され、ダイナミックな吊り天井が木の温もりを伝えます。(※4)

丸美産業本社ビル
丸美産業本社ビル 愛知県名古屋市

「木質ハイブリット集成材」を主要構造として採用しています。これは、カラマツ集成材の中にH型鋼を内蔵したもので、1時間耐火部材です。この構法を使用した事例として国内最大の規模の社屋です。

高知県立牧野植物園
高知県立牧野植物園 愛媛県今治市

内装材の仕上げに県産のスギを、外装のデッキでは県産のヒノキを多用し、地場産業の活性化へも貢献。柔らかな雰囲気づくりと室内の吸湿作用を狙っています。(※5)

土木の世界でも新しい木材利用

木材の長所として力学的には軽い割に強度があること、弾性領域が広いことなどが挙げられます。その他、炭素を貯蔵することや、見た目の良さ、全国的に調達しやすいことなど色々あります。逆に、鋼材に比べて強度が低いことや乾燥により変形すること、腐ったり朽ちたりすること、虫害にあうこと、燃えやすいことなどの短所もあります。これらの特徴を踏まえた上で、長所を活かした使用の取り組みが進められています。

かりこぼうず大橋 宮崎県西米良村

2003年に建設された国内最大の橋長140mの車道橋。集成材を利用したいわゆる「近代木橋」は1985年頃に登場し、2003年までには異種材料を利用するハイブリッド化の技術開発が進み、急速に木橋技術が発展しています。(※6)

木製治山ダム工
木製治山ダム工 福井県福井市

あらかじめ加工された木材を井桁状に組んで、内部に石を詰め、ネジ留めして築設。自然素材なので周辺の景観になじみやすく、また、ユニット化された木材を組立てるので、施工が簡単で工期の短縮を図れます。(※7)

木材地中カーボンストック
木材地中カーボンストック 福井県敦賀市・千葉県浦安市等(実証実験)

木材は水中では酸素がなく腐朽や虫害が進行しません。この特性を活かして、浅い軟弱粘性土地盤や地震による液状化への対策として、丸太を地中に利用する技術が開発されています。(※8)

写真協力

(※1)旧相模川橋脚 茅ヶ崎市 > 国指定史跡・国指定天然記念物「旧相模川橋脚」関連写真
(※2)板倉構法 信州カラマツ板倉の会 > 板倉構法とは
(※3)夢・みなとタワー Lonely Trip > 旅記録 2009
(※4)エムウェーブ 株式会社 久米設計 > エムウェーブ
(※5)高知県立牧野植物園(左) Wikipedia - 高知県立牧野植物園
(※5)高知県立牧野植物園(右) 都市まち住まいのデザイン > 木造建築紹介
(※6)かりこぼうず大橋 木橋資料館
(※7)木製治山ダム工 福井県 > 県営土木工事における福井県産木材使用事例集
(※8)木材地中カーボンストック 飛島建設 株式会社

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