私の森.jp 森と暮らしと心をつなぐ

ブレッドクラムメニューです。
ホーム
あの人の森は?
あの人の“森”語り:松原 卓二さん

あの人の森は?

あの人の“森”語り

「森の小動物は、音や気配で撮るんです。」 第十四回ゲスト 松原 卓二さん プロフィールはこちら

虫かごギッシリ!昆虫採集の日々

子どもの時は兵庫県の相生市という港町の山のほうに住んでいて、よく裏山に遊びに行ってはカブトムシやクワガタ、セミ、トンボなんかを捕ってね。昆虫採集が好きでした。セミなんか虫かごがギッシリになるほど、今だったら「こんなに捕ってどうするんだろう」と思うぐらい。いっぱい捕って満足して、戦利品でしたね。

ある時、山に入ってふかふかの腐葉土をバケツに取ってきて、製材所からもらったオガクズと混ぜて水槽に敷き詰めて、カブトムシを飼いました。雄と雌とを入れておくと卵を産んで幼虫が生まれるんだけど、これが面白い。最初の年に立派なカブトムシを捕ってきて投入するでしょ、すると次の年に生まれたやつは成虫になっても少しひ弱で小さいんですよ。で、もう1年するとコガネムシぐらいのサイズになっていて(笑)。これでもカブトムシか!ぐらいに。だんだん小型化するってことが、不思議でしょうがなかった。

 

森の中の沼のようなところで、トンボが卵を産むときのキレイな動きを一人でずっと眺めていた夏もありました。生き物が大好きだったんですね。

ウチワヤンマ( Sinictinogomphus clavatus )Video 03 by idealjapan

パソコン都会生活から、犬のために田舎へ

16歳ぐらいの時にパーソナルコンピュータのひな形みたいなやつが出て来て、お金持ちの友達がシャープのMZ-80というのを買ってもらって、それが羨ましくてね。家に遊びに行っていつも触らせてもらっていました。うちは貧乏だから買えなくて、それでコンピュータ会社に就職しました。

プログラムを組むと動く、というのが楽しくて面白くて、勝手に徹夜してプログラムを勉強して。最初は大型コンピュータの会社に入ったんだけど、3、4年で疲れちゃって辞めました。それからもっと自由に作れる小さい会社でソフトを作るようになって、都会でパソコンを触るだけの生活が続きました。遊びに行くこともなく、ただプログラムが楽しくて徹夜する毎日。

左下:愛犬の黒丸 photo by Takuji Matsubara変わったのは、結婚して犬を飼ってから。二人とも動物大好きなので、「1匹飼ったら2匹も3匹も同じだよね」とか言って、借家なのにシェパードまで飼って(笑)。で、今度は「犬と暮らすのに大きな家が欲しいよな」と、家を建てることにしたんだけど、ちょうどバブル期で東京の土地はべらぼうに高くて。その頃はもうフリーランスになっていたし、ようやくインターネットでデータをやり取りできる時代になってきてもいたんで、「それなら山の中でもいいじゃん」と、富士山のそば、裾野市十里木に家を建てて住み始めたのが25、6歳の頃です。

 

リスと親しくなって動物写真家に

photo by Takuji Matsubara

ここに住み始めてちょっとした頃、山の中で寂しいから「鳥でも呼ぶか」と餌を庭に出していたら、ある日リスがいてびっくり。それ以来、リスがお客さんですよ。斎藤さんって名前をつけて、えらく可愛がってね。撫でたりはしないけど、リスが安心して来られるような庭を造って、おれが死んでも斎藤さんの子孫が栄えるように実のなる木をいろいろ植えて。オニグルミとかカシグルミとか植えたけど、なかなか育たなかったな…。

斎藤さんが一番好きなのはマツボックリ。大喜びでムシャムシャ食べてる。クリも割とよく食べるし、近所のシイタケを盗んで食べたりフキとかカエデの新芽とかもね。クルミなんかデッキに転がしておくと、カーンと殻をきれいに割って食べますよ。餌をあげるようになってから増えたようで、最近は3、4匹見るようになりました。耳がボロボロのミミカケ君なんかも、もう5年ぐらいになるかな。

2004年に一眼レフのデジカメを買ってから、リスと鳥ばっかり撮っていました。ずっと前から写真はやっていたんだけど、動物を撮り始めたのはデジカメになってから。野生動物のいい瞬間というのは100枚に1枚ぐらいしか撮れないから、フィルムだとお金かかり過ぎる。デジカメなら「鳥とかリスとか取り放題じゃん」ってね。あまりにたくさん撮りためたので、2006年に近所のギャラリーでリスの写真展をやったんです。それが割と好評で、そうこうしているうちに本が出ることになりました(『動物オメガ図鑑 カワイイのはクチでした』)。

photo by Takuji Matsubaraここで毎朝散歩していると、リスが電線の上をテクテク走っていたり、ハヤブサとかチョウゲンボウとか珍しい生き物にも10日に1回ぐらい遭える。見たことのない動物を見るとうれしくてしょうがないから、いつもカメラと200ミリの望遠レンズを担いで散歩しています。

 

森の中では視覚情報よりも音や気配

動物を撮りに森の中へ入る。カサカサという音が聞こえると、リスがスギやヒノキの皮にツメを立てている音だったりする。森の中では、葉っぱとか木漏れ日とか視覚的情報も多いけれど、鳥とかリスとか動くものを見つけるには「音」が一番の情報になります。

あっちでカサカサというと、「あ、リスがいるな」って。そういうときにリスを見たければ、音のしたほうをじっと見ていると、動いた瞬間に見えるんですね。北海道まで撮りに行ったナキウサギもそうで、目で探しても小さくて見えないんです。気配と鳴き声とか、そういうのでわかる。だから、森の小動物は目で追いかけるのではなく、ぼやっと見ていると見えてくるんですね、枝の不自然な動きとかで。鳥とかリスが枝にトンと止まったときにぶれる動きは、風で動くのと少し違うんです。慣れてくると、ぼーっと見ていてちらっと変な動きをした所を見ると、リスがうろうろしていたりするんですよ。

photo by Takuji Matsubara森で小動物を撮るなら、まず、森を撮るんじゃなくて動物を撮るんだということに集中して。あとは、気配がしたら動かずにそのあたりをずっと見ていると、相手が動いたときに居場所がわかってくる。それで、鳥とかリスとかの基本的な動作に慣れてくると、「今、飛び立つな」とか、「あっちの方向に行きたがっているんだな」というのがわかってくる。通わないとダメですね。慣れると楽しくなりますよ。

 

プロフィール

松原 卓二(まつばら たくじ)

プログラマ
動物ω写真家

1965年 兵庫県生まれ
1989年ソフト開発の有限会社クエイクを設立、日本におけるMacintoshプログラマの草分けとして活動。1995年富士山麓の別荘地へ移住し自然に恵まれた環境でソフト開発に勤しむかたわら、趣味の写真に没頭。身近な野鳥、野生のニホンリスなどを撮り始める。2006年野生のニホンリスを題材にした写真展「十里木の栗鼠」を開催。2008年には動物のクチを撮りためた写真集「ω collection」が「リトルモアBCCKS第一回写真 集公募展」で入選。動物写真は雑誌・週刊誌の特集記事、グラビア、学習教材の表紙 写真等に採用され、現在はテレビ番組や広告への出演など活動の幅を広げている。

● 著書

「HyperCardクエストブック」
「Macintoshプログラミング入門 」

 

ページの先頭へ

グローバルメニューです。
ニュース&トピックス
森へ行こう!
あの人の森は?
おもしろ森学
ポスト3.11と森
暮らしと森製品!
サポートメニューです。
私の森.jpについて
お問い合わせ
サイトマップ
コンテンツメニューです。
ニュース&トピックス
森へ行こう!
あの人の森は?
おもしろ森学
ポスト3.11と森
暮らしと森製品!
私の森.jpの歩き方
森のクイズ
私の森.jp 写真部
私の森ネットワーク
ポリシーメニューです。
サイトのご利用について
プライバシーポリシー